薔薇は日当たり・風通しの良好な場所と、保水性があり且つ水はけの良い団粒構造の
肥沃な土壌さえあれば、施肥などそれ程頻繁に実施されなくても、すくすくと成長します。
寧ろ特に窒素肥料のあげ過ぎが原因で病気に冒され易くなりますので、適量の施肥と共に
薔薇が本来持ち合わせている生命力を上手く引き出してあげる事が、上手な栽培法と云えるでしょう。
当HPの『栽培の手引き』でのティースプーン2杯の分量は、鉢栽培の追肥に限って解説したものです。
鉢のサイズは9〜10号を目安にしています。 勿論露地植え栽培ではより多くの分量の追肥(一握り)
が必要になります。 鉢栽培では限られた土での栽培になりますから、多肥は根腐れの原因にも
なりますので、あまりお勧めしません。 また殆どの1季咲きのORは鉢栽培には適しておりませんし
露地植えの場合では追肥は一切必要ありません。 さらに鉢栽培の場合に限って申し上げると
夏場の直射日光は株を弱らせますので、この時期は半日陰の場所での管理をぜひお勧めします。
総じて園芸品種としての薔薇は、本来冷涼な夏と比較的温暖な冬を好みます。
イギリスで薔薇栽培が盛んなのは、その気候が薔薇に最適だからとも言えます。
はっきり申し上げると、日本の高温多湿の気候は薔薇にとって良い環境とは決して言えません。
我国における薔薇栽培が病害虫との戦いになってしまうのは、そんな高温多湿な
気候の所為なのです。 ただ一つ日本の土壌だけは大変栄養価が高く
其れ故イギリスにおける生育より遥かに大きく成長する傾向があります。
以上の事から、我国での薔薇栽培で一番大切な作業は『病気防除・害虫駆除』
と云っても差し支えありません。
どんな植物もその葉で呼吸したり、光合成で自分で必要な栄養分を補給したりします。
肥沃な土壌より根からも栄養分を吸収します。 施肥はあくまで補助的な栄養補給と考えられて
大切な葉を病害虫から守るために定期的な防除消毒散布をぜひ心掛ける様にしましょう。
特に秋の花の良し悪しは、夏場どれだけ多くの葉を残すか如何で決定してしまうと云っても
過言ではありません。 特に病気に関しましては、病気になったから消毒するのでは無く
病気にならない様に予防散布して頂く事が大切なのです。
春から晩秋にかけて、ダコニールの1000倍液の10日間隔の定期散布さえ実施して下さるだけで
まず黒点病の発病は防げます。 また万一この病気が発病しても、病気に冒された葉を全て
(落葉した葉も勿論)取り除いた上、サプロールの1000倍液の2日置きの3回程度の
連続散布で必ず防除出来ます。
栽培書等の解説は、特にHTの競技花を栽培されている熟練栽培家の手に選るものが多い様です。
従いまして、ただガーデンローズとして薔薇を御育てになりたいだけでしたら、それ程神経質に
御考えにならなくても結構なのです。 薔薇は樹木ですから、本来大変丈夫な植物です。
薔薇の生命力を御信じになられ、その生命力を十二分に発揮出来る様時々バックアップして
あげるだけで、薔薇はすくすくと育ち何度も美しい花を咲かせるはずです。